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言えない空気 [草の根的メディエーションのつぼ]

第2次世界大戦中の日本軍「従軍看護婦」をテーマにしたルポを見ました。「憧れの日赤の看護婦になり、鼻高々、人の役に立ちたいと希望に溢れて中国満洲の病院に赴任した」Aさん達。「病院は高い塀で囲まれ完全に隔離され、塀の向こうで中国の人々が悲惨な暮らしを強いられていたことなど知るよしもなかった。」そこでの彼女達の仕事は「看護だけではなく、生体解剖や安楽死の手伝いもあった。 看護の仕事も、壊れた機械を直してまた戦場に送る工場のようだった・・・」とAさんは回想していました。

生体解剖を行った際の状況を語った時に、Aさんから「私たちは言われるままにするだけ。質問は許されなかった。」の発言。そこで質問することは上司や体制に異論がある=立てつくこと、で、露骨に陰惨な制裁、今風に言うなら “苛め”を受けたのです。 “悪いことをしていると認めたくない力のある側”は、“言わせない”ことで、“力の弱い立場にある人々”を縛り、自分を正当化しました。人々は自分が社会に生き残るために、あまんじてその“空気を読む”しかなかった。日本社会では、不幸にも、戦後もその“言わせない”空気を利用して人をコントロールする形が根強く残ってきたので、縦社会の日本では“はっきりさせられない空気=言えない空気”は今だに主流です。

メディエーションでは、いかに当事者さんに公平に“言ってもいい”“言った方がいい”空気を感じてもらうか、が鍵と思います。メディエーションを生業とするメディエーターが“言えない”なら普通の人はもっと言えません。理屈を理解しているだけではなく、自らがメディエーションのコンセプトを実践している、もしくは実践しようとする姿勢のある組織/人が真にメディエーションによる解決ができるのでは、と感じています。      (・・・で、そう言う自分はどうなの・・・う~ん・・・まだ修行が足りないかも)

 


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