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risk communication:久しぶりにJMC勉強会に参加 [研究会/学会参加報告]

暫くご無沙汰していた日本メディエーション・センター(JMC)の勉強会に参加しました。

Risk Communication:慶応義塾大学商学部で教える心理学畑の古川肇子教授のお話を伺ったあと、cross roadと名付けられているカードを使った「自分の考えを話す」練習、「人の考えや思いを聴く」練習になるゲームを楽しみました。

古川氏が研究されているrisk communicationとは、東北大震災などの災害や公害環境問題等の対応に必要とされるコミュニケーション、と解釈しました。

参考までに、「社会を取り巻くリスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などのステークホルダーである関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図ることを言う。合意形成の一つで、災害時や、原子力施設などによる環境破壊などのリスクが伴う問題に対応すべく、関係者が意識/認識を共有し協力関係と解決を図る・・・Wikipedia」

レベル1:I know. 私は、知っている(わかっている)。     
レベル2:I know I know. 私は、自分が(何を)知っているか(求めている、困っている、等々)、わかっている。
レベル3:I know you know. 私は、あなたが知っている(わかっている)、とわかっている。
レベル4:I know you know I know. 私は、あなたは私がわかっているという事をわかっている、とわかっている。

という4段階のレベルがあり、レベル4で初めて相対的なコミュニケーションとなり得て、さらに4つの義務が果たされることで被害やリスクの軽減、回避、解消にいたる、と…古川教授。
4つの義務とは「実用的義務・道徳的義務・心理的義務・制度的義務」・・・(詳細は参考資料:堀口逸子教授順天堂大学)

ですが・・・昨今の現状として、レベル4の段階にありながら、その上で、力の強い方が義務を無視して強引に事を推し進めるという事態がグローバルに起きているように思えます。

 

 


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「べてるの家」当事者研究-2 [研究会/学会参加報告]

『当事者』と言うのは「深刻な問題を抱えている本人」の事で、べてるの家では、その自分の問題を研究している人を“専門家”と呼んでいます。ありのままの自分を認め、自分を取り戻そうと取り組んでいる“専門家”達のお話をまとめてみました。

     引きこもり.jpg 「 引きこもり15年の“専門家”」 
自分の弱さを他人に知られることが怖かった。それをひた隠しにしようとした。
 弱さを知られると、他人から軽蔑されたり、認めてもらえないのでは、と思い込んだ。 そして孤独に陥っていった。でも、話してみたら自分一人ではなかった。自分の弱さを認めたら楽になった。  

リストカット.gif 「リストカットの“専門家”」 「自分苛めが止まらない」症候群     
両親は二人とも超エリートで自分も常にトップだった。いつも親の顔色をうかがっていた。
親が求める正解を自分は必死になって求めていた。(親が思うようないい子じゃなければ)“見捨てられる”かも    という不安に陥った。 リストカットするのは人の気を引きたかったから。存在を認めてもらいたかったから。 怒る男の子.gif  

「家の洗濯機を5台壊した “専門家”」  
父親が酒乱で、兄には虐待された。
 『辛い』」とか『寂しい』とかの感情を表す言葉がいつのまにか自分の辞書から消えてしまった。『死ね』『殺す』くらいしか出てこなくなった。 この頃やっと『苦しい』とか言えるようになった。自分より弱いものに当たることで自分の弱さをごまかしていた。

他にも、
・  「劣等感スイッチ」の研究 
・ 「ハリネズミの親子症候群」の研究
・  「きっと理解してもらえないだろうな」「“こいつ、何言ってるんだろう?”と思われてるんじゃないか」の研究
・  「つながり失調症 孤立無援タイプ(一人ぼっちで寂しい、誰にも助けてもらえないと思い込むタイプ)」の研究
・  「言葉の一音一音に自分が責められているのではないか、という感覚」の苦労の研究
・  「緊張・アウェィ感→抑うつ→自閉(眠り込む)→引きこもる→昼夜逆転のサイクル」の研究・・・、などなど、
みなそれぞれに自分の症状に名前をつけて研究しているそうです。

 共通していたのは:
・親や友達、人とつながりたいのにうまくいかない辛さと孤独の苦しみ。
・その辛い、苦しい思いを親にわかってもらいたかった。           
・頑張っても褒めてもらえなくて空しかった。                 
・「辛い」「寂しい」とかの感情がわからなくなった。            
・自分に「ダメで価値の無い人間」のレッテルを貼っていた。        
・一人でもわかってくれる人がいることで救われる。               

                               でした。    

ベてるの家はこちら 


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「べてるの家」当事者研究-1 [研究会/学会参加報告]

統合失調症などに対応するべてる式「治療」の実践と理論は「当事者研究」と名づけられ、その経過報告/成果報告/研究会はものすごい勢いで受け入れられつつあります。ずっと気になっていた私も、先月やっと参加してきました。
主催者(べてる)は、参加者数について、80人の募集だけれども「正月明けで2,30人位かな~」と想定していたということでしたが、部屋は溢れるほど、心のケアー系のお仕事の人、「当事者」と思しき人、身内/近場にどなたかが・・・という人でいっぱいで100人以上の人がいました。
病気の苦労(問題)を抱えている「当事者」が自ら司会進行し、自分研究で得たことを話してくれるのですが、お話はどれもこれも誰の心にも響くもので、当事者のみならず参加者にとっても臨床の場となっていた、と思います。 

精神衛生とメディエーションの可能性について、メディエーションはどこまでできるか、の疑問・・・メディエーションの最前線に関わっていらっしゃる方は、大なり小なり実感していらっしゃるのではないでしょうか、少なくとも一方の当事者の心がかなり病み、本格的に病気になっている方も多い、ということを。 
まだ経験数の少ない私ではありますが、弁護士でも行政でもどうにもならない、人との関わりで発生する問題では、出口が見えないまま何年と月日が経ち、当事者さんの中には、あっちのカウンセリング、こっちの「○△相談」とハシゴして回り、何だかわからないけれど目新しい“メディエーション”にたどり着く、という方が多いと感じています。
kmkでは「相互理解」「コミュニケーションのお手伝いをします」とうたっていますので、「ここなら話を受け止めてもらえるかもしれない」「気持ちをわかってくれるかもしれない」と期待してのことかと思います。そのような当事者さんにメディエーターはどこまで関われるのか? 

ヒントは「当事者研究」にあり、です。 


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松山訪問 [研究会/学会参加報告]

松山市にある愛媛和解支援センターの年次総会と講演に参加してきました。

愛媛和解支援センターは、草の根メディエーションの会が参考にさせていただいる組織です、代表の方を始め、皆さん、いつも暖かく迎えてくださいます。私にとって松山訪問は恒例の行事となっています。
松山市は、空港からバスで20分くらいで市内に着き、市の中心から木造りのチンチン電車で10分ほどで、千と千尋の舞台のモデルとなった道後温泉に着きます。 その街の大きさも、大都会になる前の札幌で育った私には落ち着けます。電車の運転手さんが、またとても親切です。郊外の映画館に行きたいと、行き方を訪ねた私に、電車を一時停車して説明してくれました。他の乗客さんも、別に急ぐ様子もなく、とてもおおらかで時がゆっくり流れているようです。

今回は、休暇も兼ねて、温泉付きのホテルに宿泊しました。イギリスを意識した洋館で、部屋の内装は、これまた、私には懐かしく落ち着けるものでした。このホテルを選んだ理由は、ホテル形式だけど源泉の温泉があること、でした。しかも、桧の浴槽にバラを浮かせた露天風呂があって、クレオパトラ宜しく、一人バラ湯につかって優雅な時を過ごしました。

つづく


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合意形成研究会 [研究会/学会参加報告]

「サステナブル(sustainable)なアムステルダム港を市民が熟議で考える」合意形成研究会特別「朝活」セミナー(8月31日)に参加しました。 URLこちら

港湾都市として長い歴史を持つアムステルダム港湾をどう整備するのか2040年の未来を目標に、市民とステークホルダーの参加と熟議により検討する取り組みが行われました。この取り組みを運営したアムステルダム大学政策科学学部 ジョン・グリン先生が実際にどのように取り組んだのかをお話して下さいました。:

・行政、地域住民は勿論のこと、老若男女、全ての関係者(代表)に漏れなく参加してもらい、

・1日目はフイールド・ワークで港湾地域を見学、

・2日目は経済、環境、教育(学校)、雇用等々、関係する全ての各専門家達がそれぞれの観点から考えられる利点と問題点について説明/報告,

・その後はEメールでディスカッション、という流れで進めた。

・結果として注目すべきは、進行中に人々の意識に変化が現れたこと。問題点については必ず何らかの良い解決案(Alternative)が出てきたこと。 

 “超長期的将来まで見越したサステナビリティを可能にするものは・・・”、問題や紛争が起きないように、また起きることも想定して、いかに対応するかが鍵で、その鍵は“Good for everybody”、関係者が一人も欠かすことなく同じテーブルにつき対等な立場で話合う、利益もリスクも全員でshareすることになるので全員が納得する、問題が出てきてもスムースに対応でき, 結果的に非常に良いものができる・・・、APMFで聞いたオーストラリアでの取り組みproject alliance(プロジェクト同盟)と同様の主旨でした。参考までにブログに載せたAPMFの報告記事はこちら。(今読み返してみると読みずらい文章ですが゙・・・。)


World Wide View in Japan [研究会/学会参加報告]

World Wide View in Japan (PIフォーラム・ランチタイム・セミナー)に参加   発表者:八木絵香さん 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 

地球温暖化問題について38カ国4000人の市民が討論する、というプロジェクトのお話でした。去年の12月のCOP15デンマークで地球市民の声を伝えようという目論見で発案され、「グローバル民主主義」を目指すもの・・・と解釈しました。参加38国共通の手法(同じスケジュール)、共通の議題(同じ討論テーマと質問)、共通の情報(同じ資料)を徹底し世界で同時に実施したそうです。(詳細はWWVのホームページhttp://wwv-japan/net/をご参照ください。)

 私的に面白いと思ったのは、参加者として「普通の人」を選んだという点です。(日本の場合は共通の条件を満たすよう徹底したけれど、地球的にどうなのかというと、現実、国によっては、特に「普通の人」の人選などはかなりバラつきがあったのでは・・・ということでしたが、)日本は105人。学者や環境問題専門家ではなく、年齢、性別のバランスを心がけ、普通に学生、農家、漁師、主婦などなるべく網羅するように選んだそうです。会場が京都だったこと、旅費と多少の日給が出たから、承諾してもらえた・・・ような集まりだったらしいです。 

セミナー参加者から、(日本のケース)「そんな(問題に関心のない・積極的ではない)人たちを集めて話し合って意味あるの?ないでしょう」みたいな発言がありました。その人は言いたいことだけ言ったらいなくなってしまったので、終了後、個人的に八木さんとお話しました ―特に「力」を持たない「普通の人」も政策や重要な問題に関心を持ち参加することが大事、そしてその「普通の人々」は現場にいて思うことはいっぱいあること、ただ日本社会では大事なことを決める時に「普通の人々」が物を言える場、言ってもいいんだ、と思える場がない、だから、このプロジェクトは決して意味がないものではない―。 八木さんも同じように思っている、ということでした。大学ができる事として「普通の人々」が参加する場をどんどん作って欲しいとお願いしました。

 kmkのメディエーションも究極の目標は同じです。自分の問題としてとらえ、自分でどうするのか決めていく、そのためには「こんなことを言っては恥ずかしい・・・」「~だと思われたら困る・・・」などのプレッシャーを感じることなく、本音を口にしてもいい場=自由に物を言ってもいい場が必要です。言ってもいいんだ、その方がうまく行くんだ、と実感できると、自信につながり、さらに社会に対する自覚と責任につながっていき、本来の民主主義社会に近づいていける、と考えています。 

自由に物を言う:民主主義社会の基本ルールを無視するものではありません。 

民主主義社会の基本ルール:「公正・人権擁護・暴力を許してはいけない」 


ピア・サポート学会の研修に参加 [研究会/学会参加報告]

ピア・サポート学会の研修に参加しました。日本のピア・サポート(peer support)にはいくつか主流があるようですが、この学会とはこの夏の札幌の総会が初めての関わりで、町田の方々のワークショップと今回で3回目です。肩の張らないリラックス・モードのとてもゆるい雰囲気、さすが“サポート”学会の名の通り協力的姿勢ムンムンの会で、息抜きしつつも学べる、私のお気に入りの会の一つです。ストレスが解消されエンパワー(empower)もされる研修、「草の根」も目指したいと思います。このピア・サポート学会は教員/教職関係の方が、生徒たちへの教育の一環として、“「自分と他者」、「自分と社会」の関係を学び「サポート」し合うことを学んでもらい、今日本の学校が抱えている多くの深刻な問題を改善しよう、しいては生徒たちの学力も向上し良い社会にも向かっていく”、という趣旨の会です。「草の根」でも子供たちのメディエーション(クール・キッズ)を企画中なので、参考にさせていただいています。  

ピア・サポートとメディエーションは何か違うの?・・・ピア・サポートは“生徒が他の人にできること”でメディエーション(喧嘩の仲裁)が含まれています。ピア・サポートは教員の生徒指導/授業の一環で「教育」です。やはり傾聴やコミュニケーション・スキル、気持ちを理解する、などが基盤になっています。メディエーションも基盤はほぼ同じですが、対象が大人なので「教育」ではありません。焦点は紛争解決に絞られます。「草の根メディエーションの会」の場合は、特に“相互理解による対立予防、人間関係における摩擦軽減”です。なので、子供たちにはピア・サポート、先生(大人)たちにはメディエーションが良いのでは。職員室は先生たちの戦場なんていう学校も多いようですので…… 先生、いかがでしょう?  

じゃあ、「草の根の会」のクールキッズ(peer medition)は?大人の場合と同様「教育」ではありません。子供がメディエーターとなって子供たちの争いに介入し、解決支援をします。ピア・サポートでも、実際のメディエーション部分では従来の「教育」の形をとっていないのではと思います(?)でなければ、そのプログラムはうまくいってないのではと推察しています。信じられないくらいうまくいく、とは経験者の共通の言葉です。大人が関与しないことが重要で、彼らには彼らの世界があるのです。子供たちが大人同様、自治を与えられることは“責任を持つ/自立する”ことで、任せられることで子供たちが自然に持っていると思われる“社会で生きていくうえので生命力”が発揮されるのでは、と感じています。(大人が関与しないと言っても、大人同様、メディエーターのトレーニングは必要なのでトレーナーは大人になります。大人以上に細心の配慮は必要です。) 


アジアにおける合意形成 [研究会/学会参加報告]

東京大学の本郷キャンパスに初めて行ってきました。日本の学問のトップを担ってきた大学だけあり歴史を感じさせる建物や落ち着いた空気に(先入観でしょうか?)流石だな~とアカデミックな雰囲気に浸ってまいりました。JR高尾駅の土砂崩れなどで鉄道が一部区間不通になり、出発が大幅に遅れ午前のプログラムをいくつか逃してしまいましたが、「アジアにおける合意形成(Consensus Building in Asia)」をテーマにした研究会に参加しました。エネルギー・自然資源の開発には企業(多国籍企業)、地元/近隣住民、地方/国家行政、環境問題、土地問題など、様々な要素が絡み深刻な問題を引き起こしてきていますので、今後どうしたらその問題を回避できるか、win-winの関係/結果を得るべく合意形成プロセスを研究するものです。シンガポール、マレーシア、タイ、中国、韓国、日本の研究者、企業の方々の、一人20分しかない持ち時間で、次から次へと簡潔でよく要点を押さえた発表には感銘いたしました。 

 

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