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アジアにおける合意形成 [研究会/学会参加報告]

東京大学の本郷キャンパスに初めて行ってきました。日本の学問のトップを担ってきた大学だけあり歴史を感じさせる建物や落ち着いた空気に(先入観でしょうか?)流石だな~とアカデミックな雰囲気に浸ってまいりました。JR高尾駅の土砂崩れなどで鉄道が一部区間不通になり、出発が大幅に遅れ午前のプログラムをいくつか逃してしまいましたが、「アジアにおける合意形成(Consensus Building in Asia)」をテーマにした研究会に参加しました。エネルギー・自然資源の開発には企業(多国籍企業)、地元/近隣住民、地方/国家行政、環境問題、土地問題など、様々な要素が絡み深刻な問題を引き起こしてきていますので、今後どうしたらその問題を回避できるか、win-winの関係/結果を得るべく合意形成プロセスを研究するものです。シンガポール、マレーシア、タイ、中国、韓国、日本の研究者、企業の方々の、一人20分しかない持ち時間で、次から次へと簡潔でよく要点を押さえた発表には感銘いたしました。 

 

日本のケースの一つは、環境問題に関心の強い北海道で、現在禁止されている遺伝子組換え作物の是非について、作りたい農家とオーガニックに拘り反対する農家、食の安全を重視する市民、行政など関係者による話し合いに加わっている専門家の現状報告でした。少なくとも一方的にことを推し進めるのではなく、合意形成を目指した機会が持たれているだけでも良いことだ・・・と、締めくくられたように思います。  

 

もう一つ、中国の種まき機(トラクター)の外資系製造メーカーの社員の方の発表を紹介します。「中国ではコーンの種は手蒔きか機械蒔きだが、旧式の機械は種が一か所に2,3粒蒔かれ、種ももったいないし、間引きの手間もかかる。そこで、政府の援助を受けて種が一つだけで良い改良型を開発した。援助を受けているので、農民は半額で新しい機械を購入でき、種を節約できるし、手蒔きだった農家は、人件費も大幅に節約できる。みんながハピーだ・・・。」そこで、質問。「農作業で収入を得ている人々は仕事がなくなりますが、どうなるのですか?」関係当事者全員がwin-winであることが大事なので、全てを網羅して、どうだ完璧だろうと言いたげな話でしたが、労働者(labour)が含まれていないことは不自然に思えました。 彼の答えは「製造メーカーの部品やメンテナンス部門で仕事が見つかるだろう。それに都会へ出て行けば建設現場でいくらでも仕事が見つかるはずだ。オリンピックを見ただろう。今、中国は建設ラッシュなんだ・・・。」 私には、この話は、機械メーカーと一部のお金のある農家だけがwinnerになっているように見えます。広大な領土と多種多様な文化を持つ膨大な人口を、中国という一つの国としてまとめるのは大変なことでしょう。直接お話を伺いたかったけれど、時間がなくなってしまいました。

「サステナブルな社会の構築に向けて」はこの研究会のタイトルの一部です。サステナブル(sustainable)とは持続するという意味です。地球の資源には限りがあります。温暖化や核爆発(爆弾/事故)で人類滅亡の危機も現実味を帯びています。その場その場を凌ぐのではなく長く持続する社会を目指さねばということだと私は解釈しています。企業の方の発表は他にもパーム・オイル・メーカーの方のがありました。これからは、企業もただ売るだけではなく、共に生きる道を考えていこうという姿勢が必要だということでしょう。長くなりましたのでもうおしまいにしますね。この続きは近い将来ホームページを作成しそちらに紹介していく予定です。 


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