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アデレード ラスト [旅先での・・・(海外)]

アランの話によるとナラティブ・メディエーションはアデレードから始まったとか。「Telling stories」 コミュニケーションが取れずに問題が深刻になっているケースには打ってつけだと思います。 

実は滞在中ずっとメディエーター的視点で友人の話を聴いていました。韓国では、「野ガモ家族」と称される妻と子だけが長期に海外滞在するケースで、妻と国に残っている夫の間に少なからず問題が起きる、とNZにいる時から話を聞いていました。NZでは平均的な妻の愚痴程度だったのが、今回は違いました。顔がこわばり、息子にも、電話の向こうの夫にも攻撃的で、かなり深刻な様子でした。一体何が彼女をそこまで追い詰めたのか・・・話しを聴いているうちに見えてきたのは,不安、不満、疲労、孤独感。体調も良くないなどストレスが溜まる一方で、吐き出すことができず、どんどん自分の中で負の要素が膨らんでいく。自分を肯定する(保つ)ために、他者への攻撃を強める。やがて自分をコントロールできなくなる・・・。 

☆移民ゆえのデメリット。文化や言葉の違いで他人とコミュニケーションをうまく取れない。取るための機会もなかなか無い。移民局が課す、ある程度の英語力を証明するテストは合格しているが、実際の生会話ではまだまだおぼつかないのが現状。

☆多くの移民は金持ちではない。希望を持って母国を出て来たが、お金に余裕がないと現実は厳しい。お金を得ることだけで目一杯になる。☆国に残っている家族親族に苦境をわかってもらえない。もう帰れない。

☆人口密度が非常に低い。つまり、人を身近に感じられない住環境。 前にも書きましたが、130万人近くも人口があるとは、とても思えない。静かで落ち着いた暮らしとも言えるかもしれませんが、第一印象は「何もない。殺風景。」でした。東京は他人との距離が近すぎですが、アデレードはあり過ぎです。森もあるし、家も立っていてるけれど、「豊かさ・潤い()」を感じない、殺伐とした印象なのは不思議です。何なんでしょう。

 何日か話を聴いているうちに、ふと、我に帰ったような瞬間が彼女にありました。その時を堺に彼女の声は穏やかになり、笑顔も見られるようになりました。お別れをする頃にはすっかりNZにいた頃の優しい笑顔に戻っていました。ほっ。 

アデレードが大嫌いだと言っていた彼女。 着いてすぐの頃は、私も、寒いし長旅で疲れていたし、風景も殺伐として見えて、確かにこの環境で母子だけで暮らすのはきつい・・・と思いました。ですが、アランに会ったり、あちこちうろついてあらたな発見があったり、カンガルー島では最後に念願のペンギン達も見ることができたし、日本に帰る日、空港へ送ってもらった車中で、ポロリと一言「アデレードも悪くないじゃん。」  そう思えたのは、温かく迎え入れてくれたその友人がいたから、時間とお金をやりくりしてカンガルー島にも付き合ってくれたから、一緒に気の利いたカフェでおしゃべりできたから・・・、まだまだたくさんあります。 「アデレードも悪くない」きっと彼女も少しかそう思えるようになった・・・と思いたい・・・。 


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